キャットタワーも登れるよ!わなで後ろ足を失ったコロ助くん
獲物を捕まえる「トラバサミ」は2007年に改正鳥獣保護法が施行されて以来、狩猟での使用が禁止となったが、野良犬や野良猫を捕まえるためにこっそりと仕掛けられることもある。現在、推定3歳のコロ助くん(オス)は、そんな悪質なわなで後ろ足をなくしてしまった──。
野良猫だったコロ助くんは誰かに保護され、去勢と目の手術をしてもらったが、なぜか元いた場所とは違う地域にリリースされ、現在の飼い主・コロ助ママ(@korosukeGOGO_JP)さんと出会った。
初めは飼い主さんに見守られながら地域猫として暮らしていたが、人が仕掛けたと思われるトラバサミのようなわなにかかってしまったことを機に、コロ助くんのニャン生は大きく変化していった。わなによって両後ろ足と尻尾が壊死したコロ助くんは、なんと自力で2週間かけて歩き、コロ助ママさんのもとへ帰ってきた。
そんなコロ助くんの姿から「生きたい」という想いを強く感じたコロ助ママさんは家族として迎えることを決意し、できることを模索し始めた。
しかし、諦めきれなかったコロ助ママさんは違う病院へ相談。獣医師のご厚意により、20万円ほどで治療を行ってもらえることになったため、クラウドファンディング上で退院後に必要となる介護グッズの購入支援を募りながら切断手術や術後の検診などを進めていった。
「足の切断は箇所が重要です。少しだけ切断しても擦って悪化し、再手術をしなければならなくなる可能性もあります」と語るコロ助ママさんは、病院選びの大切さも身を持って実感したのだった。
切断手術後にはあえてキャットタワーに
人間でいうと、膝から下を無くした状態のコロ助くんにコロ助ママさんが行ったのは、前足を鍛えさせるためのリハビリ。
「獣医師からお尻を持ち上げて歩くようにしないと傷口が悪化し、床ずれのようになって再度足を切断しなければならなくなるといわれたので、一ヶ月間つきっきりであえて歩かせたり、落ちてもいいように座布団を用意しながらキャットタワーを登らせたりしました」
リハビリに伴い、おうちではトイレ環境にも変化が。それまでは鉱物系の猫砂を使っていたが、排尿時に付いた猫砂が固まって陰部が締まり、腫れてため全てシステムトイレに変え、トイレカバーも全て取っ払い、乗り越えられるように工夫した。
「リハビリ中は腕の力がなく排泄物の上に座ってしまうので、家中がうんちだらけ。赤ちゃんのおしりふきで拭きまわっていました。そして、毛が生えそろうまではお腹を壊しやすかったので、クラウドファンディングで支援していただいた消化器サポートや満腹サポートのフードが欠かせませんでした」
また、コロ助くんが爪を引っかけて高い場所に登ってしまわないよう、爪切りもこまめにしていたのだそう。「コロ助は1年以上、落ちることで地面に着地していたので怪我をさせないよう、細心の注意を払っていました」。
いまは最高に良い状態
「コロ助は片目があまり見えておらず、とても怖がりなので、声をかけたりにおいを嗅がせたりしてから触るようにしています。耳や背中の後ろが掻けないので、私が代わりに掻いてあげています」
また、太ってしまうと前足へかかる負担が大きくなってしまうため、食事管理も徹底。足の骨が当たることで痛みを感じてしまわないよう、長座布団やフリースの毛布、ペットベットなどを活用し、ふかふかな場所で眠れるように心がけてもいる。さらに、夏はエアコンで冷えた床に直接お腹が当たるため、こまめに体調をチェックし、ストレスから体調不良にならないよう、安心できる環境作りも欠かせない。
安楽死を推奨されるまでだったコロ助くんが、おうちでちゃんと生きてくれている。この道に辿りつけたのは、コロ助ママさんの諦めない心があったからだ。
小さな猫助けで障がい猫も救われる
障がいのある猫を育てるときにはもちろん、大変なこともたくさんある。だが、一緒に生きる道を探しつづけていくのは飼い主さんだからこそできることだ。コロ助ママさんは安楽死を勧められたとき、「好きでたまらないのに猫を殺すのか?」と思い、丸2日間泣き続けた。手術後も「どうして足を切ったの? なんで治してくれなかったの?」とコロ助くんが怒ったり恨んだりしてはいないだろうかと悩んだという。
「障がいを持ったまま生かすことは人間のエゴではないのか? という疑問は、ずっと私の心の中にあります。しかし、同時にどんな障がいがあり、例え全介護になろうと、生きる道が見えた時点で言葉にならないほどの嬉しさも感じられたのです」
コロ助くんのように足を切断する必要があると判断された猫は「かわいそうだから」「飼育が難しそう」「世話する自信がない」といった理由から安楽死を下されることが多いのだという。しかし、安易な死ではなく、自分がどう猫と向き合い、何をしてあげられるのかを考えながら「生きられる道」を探してほしいとコロ助ママさんは訴える。
「もし、障がいのある猫が保護団体にいたら、ほぼ引き取り手はないでしょう。しかし、金銭的な援助やフードの支援など、自分にできる小さな“猫助け”で支えることはできます。ペットショップから猫を迎える前に、自分にできる支援を考えてみてほしいです。そしておうちに迎えるときは“一生この子を守って幸せする”という気持ちを持ち続けてほしいですね」
Text: Yuka Furukawa / Special Thanks コロ助ママ @korosukeGOGO_JP
0コメント