サーフィン犬のコーダと浅野さん「いつも一緒、最高のパートナー」

穏やかな海。波待ちしているサーファーに混じり、華麗なライディングをみせていたコーダ君に出会いました。波風になびく金髪のヘア（耳）は、いささかカリフォルニアのサーファーをも彷彿とさせる。まずはその様子をご覧ください。

（音あり／１分4秒）

サーフィンをしているのは、イングリッシュ・コッカー・スパニエルのコーダ君（５歳、オス）。波に乗るときは小さな尻尾を左右に振り、「早く！早く！」と言わんばかりにうれしそうに鼻鳴きをして、波が来るまでは、海の中でボール投げをして遊んでいました。よく見れば、ウエットスーツはCODA（コーダ）の名前入り！


「ウエットはコーダのサイズに合わせて作った特注品なんです。私が着ているのは既製品なんですけどね」と笑顔で教えてくれたのは、飼い主の浅野里実さん。聞けば彼女、犬のしつけ方を飼い主に教えるドッグトレーニングインストラクターをしているんだそうです。


「イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、もともと水鳥を狩るための猟犬だったので、海も、泳ぐのも大好きなんです。水が好きすぎてお散歩中に池に入ったり、ドブに入っていたなんてこともあるんですよ（笑）」

バランス感覚を要するサーフィン。未経験者であれば海の中でサーフボードにまたがることすら難しいのだけれど、コーダ君はいとも簡単に乗っていました。

「サーフィン歴は２年です。もともと私はボディボードをしていたので、たまにコーダを乗せて遊んでいたんですが、サーフボードに乗せてみたところ、私よりコーダの方が上手く乗れちゃって。それならば一緒にサーフィンをしたいと、私がサーフスクールに通うことにしたんです」

とはいえ、波の上をボードで滑るサーフィン。危険はないのでしょうか。


「コーダが“いやだ”と思ったら無理強いはしませんし、自分の意志でボードに乗らない限り、海には入りません。波に乗るためには、コーダのいる位置が重要で、ボードの上で一歩でもずれたり、進行方向を向いていなかったりするとバランスを崩してしまうから。サーフィンをするうえで、コーダの安全は絶定条件です」


コーダのウエットスーツは防寒用でもあるし、ライフジャケットも必ず着用するそうです。また、海水をすぐに排出させるために利尿作用のあるヤギミルクと、体を温められてなおかつ消化のいい食べ物も必須だと言います。


「海から上がった後、私は水シャワーでも、コーダだけはお湯で洗います（笑）飼い犬のコンディションを見てあげることは飼い主として当然のこと。コーダは、朝起きると“ハグして！”と飛びついてくるのですが、仰向けにさせて全身の健康診断をするのも毎日の日課です」

毎年、神奈川県藤沢市で開催されるサーフィンの大会「マーボロイヤル KJ カップ」には日本で唯一ドッグサーフィン部門があるのですが、今年はこの大会にコーダ君と浅野さんも出場。３位という成績をおさめました。これにとどまらず、スケートボードやキックボードもできるというから驚き。しかし、以前のコーダ君は噛み癖や、飛びつき癖もあるなど、だいぶヤンチャだったそうです。

「私が幼い頃からうちには犬がいたんですが、先代犬たちと比べてもコーダは元気な子で。周りの人にとっても、コーダにとってもきちんとしたしつけが必要だと感じたので、意を決してドッグトレーナーの講習を受けることにしたんです。“ひとつずつ階段を上るように教えること”が、犬に覚えてもらうコツなんですよ」
外ではアクティブなコーダ君ですが、意外にも家の中では存在すら感じないほど静かなんだとか。そして自分のゴハンの時間ぴったりに、スヌード（耳がフードボウルに入らないようにするためのヘアバンド）と、お皿を咥えてくるそうで「コーダにあげたおやつを前脚の下に隠されて“もう無いよ”と騙されたこともありますね。コーダとは固い信頼関係を結んでいると思っている私なんですが、トムとジェリーみたいなときも結構あるんですよ（笑）」


ゴハンの味がコーダ君の口に合わないときはため息を吐いたり、たくさん褒めてもらいたくて、投げたボールをわざと大変そうに持ってきたりもするそうです。


今回、実際にコーダ君と浅野さんがサーフィンをしているところを真横で見ていましたが、心底楽しんでいる様子が伝わってきました。犬の特性や性格を活かして、毎日を一緒に楽しむ。このふたり、間違いなく最高のパートナーなのでしょうね。
取材したカフェでの一コマ。海での元気いっぱいな雰囲気とはうって変わりとても穏やかなコーダ君。
ぐしゃぐしゃ撫でられてご満悦。

後ろ髪もきまってる。筋肉もしっかりついてます。
◆コーダ君と浅野さんが一緒にサーフィンをする動画（音あり／2分10秒）
浅野さん＆コーダ君のインスタグラムはこちら @satomimomi


Interview, Edit: Tomoko Komiyama

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